アクアリウム熱
魚は、私が幼い頃から家にいた。
狭いアバート住まいの頃は、40センチ位の水槽にエンゼルフィッシュやキッシング・グラミー、ソードテールなどが泳いでいた。
一軒家に越してから、父は鯉を飼い始めた。池を作り、飼育器具を揃え、養殖場を回り、買ってきた鯉を池に放ったときの喜びは、未だ忘れられない。
鯉はみるみる成長した。中には体長一メートルにもなる鯉もいた。馴れると手から餌を食べるようになった。病気になった鯉は盥に掬って薬浴させ、直接からだに塗ってあげることもあった。
錦鯉を長く飼っていると、柄や体型などのよしあしが分かってくる。
子供の私にも、養殖場の主人の「そげんか赤みの農ゆかとがよかっですたい」などの声が耳に入る。ただの金色や銀色のやつはたいしたことないとか、色の鮮明さや配色のバランスが大事だとかがわかってくる。鯉は我が家の家族の一員となり、父の終生の友となった。
父の死後、母が人に頼んで世話をしていたが、二年ほどのちには、高齢の母ひとりで管理することができなくなった。鯉は、幼稚園に引き取られることになった。今も元気な姿で、園児たちを喜ばせているに違いない。私に血は受け継がれた。今、私の家には、熱帯魚、海水魚、サンゴたちが水槽に暮らしている。
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